すべての人は、社会的存在意義があります。すべての人には社会的な役割があります。そして、すべての企業にも社会的存在意義があり、社会的役割があります。それがない企業は長くは存続しないはずです。

となると、企業に所属している人は、企業の中での自分の役割をしっかり全うしていれば、社会的な役割を果たしているとも言えます。

しかし、20代であればそれでよいかもですが、少なくとも40代以降では、それが本来の自分の社会的役割と一致しているかどうかを考えるべきでしょう。その意識がないと、定年後、何をしてよいのか、わからなくなります。

要は、本来の自分の社会的存在意義や役割は、企業に所属していようがいまいが変わらないもので、逆にそれらを全うできる環境に身をおくという選択が重要となってくるのです。

若い頃から役割を果たしていれば理想ですが、多くの場合、将来にわたって役割を果たすために、さまざまな経験をつみ、スキルを身につけるということになります。場合によっては、リタイア後が役割を果たすフェーズで、それまでの企業所属時期がその仕込み段階かも知れません。

いずれにしても、「キャリア」は、企業内だけの話では事足りなく、キャリアは一生涯のもので、社会的な役割は生涯かけて達成するものです。

つまり、「キャリア」は、企業で働く「ビジネスキャリア」だけではなく、さらに、仕事をしているビジネスアワーだけで達成できるものでもないことがほとんどでしょう。

社会的な役割は、仕事を通してそれらを全うすることとなりますが、ここでいう「仕事」は、日々、そして生涯かけてする仕事です。そうすると、キャリアを考えるには、ビジネスキャリアだけでなく、ワークキャリアであり、さらに日々の生活や人生の最後までの広い範囲を見すえたキャリアである「ライフキャリア」を意識することが大事になります。

「ライフキャリア」は、老後を考えることや、定年後の生涯学習を考えること、あるいはワークライフバランスを考えることとされる場合もありますが、ここで言うライフキャリアは、それらとは違います。老後や定年後には限らないということです。

ライフキャリアを考え、見すえることは、社会的な役割を全うするためであり、それによって、毎日イキイキと生き、悩みなく人生を豊かに生きることができるようになります。

ライフキャリアは、社会人としてデビューした時点から、一生を終えるまで、人として何をめざし、社会の一員として何をなすのか、それらを見すえたキャリアのことと定義しています。

ライフキャリアは、仕事と生活を分けることをせず、仕事と生活を調和させ融合させた「ワークxライフ インテグレーション」によって、実現させることができると考えています。

※このコラムは「WoLicasコラム」(一部修正)より転載しています