目的は定めるものではありません

「目的と目標」は、その違いについて話されることがありますが、本来は「違い」ではなく、その関係性に着目しないとよくわからなくなるものです。目的は「ゴール」だともよく言われます。それは正しくもあり、誤解を生む要因でもあります。

たとえばマラソンランナーで言うと、「ゴール」というと、テープを切るあの瞬間の姿が思い浮かぶでしょう。では目標はというと、 完走すること、4時間を切ることなど、一人ひとり異なる「目標」をたてることができます。

それらが目的だと説明をしている講師もいますので、そのように理解している人も多いでしょう。それは完全に間違っているとは断言するには至りませんが、それらから自分のことに応用していく際に、間違った方向へ進んでしまう人が多くいます。

そんな中、そもそもよくある間違いは「まず目的を定めましょう」ということ。

何かを始める際に「目的を決めてから始めよう」と言われることがあります。
いやそれは「目標でしょ」と思います。

そもそも「目的」は「何のために」ということです。

マラソンでいうと、何のために走るのか、何のために完走するのか、何のために4時間を切るのか、ということです。

今の時代「何のために」ということを考えないで行動している人が多くいるように思います。仕事に関しても、この仕事は何のためにやっているのかを意識せずやっている人も多いと感じます。それは単なる作業で、それこそAIやロボットに簡単にとってかわられる仕事になりかねません。

基本的にすべての行動は目的があるはずです。それを意識せずにやっていることが多いだけです。つまり、目的は定めるものではなく、そもそもあるものです。それを意識せず始めてしまっていることについては、一度立ち止まって、目的は何だったかを考える、あるいはあらためて目的を明確にするということが大事です。

「何のため?」というのが目的です

何のためにこの作業をしているのか、何のためにこの仕事をしているのか、何のためにこの会社にいるのか、何のための人生か。

これらは少し哲学的な側面もあるので、ちょっとめんどくさかったりします。さらに、目的は階層的です。何のため?というのが明確になっても、さらにそれは何のため? そしてさらにそれは何のため? という多層的なものなのです。これらは少し思考訓練をしないと、難しいかも知れませんが、でも、目的はとても大事です。

「目標」は多くの人が意識をしていると思います。仕事においてもとても大事で、会社勤めだと常に意識させられてきたということもあろうかと思います。売上目標だとか、今期の目標だとか、期首に自己成長の目標管理だとか。これらは評価とつながっていて、逆に評価のために目標を立てさせられるということも多いでしょう。

そこで目的は?というと、要は「何のためにその目標を達成せねばならないのか?」ということです。

売上ノルマ100万円だとして、それは何のために? なぜ100万円を売り上げないといけないのか。目標を立てた人も立てさせた人もそれらを意識してますか? ということです。前期が80万円だったから、とか、部門全体で1,000万円がノルマだから、などというのは本来の目的ではありません。

目的は作るものではなく、そもそもあるものです。

目的が明確であれば、目標達成へのパワーがみなぎるはずです。
逆にそれがないと目標を達成しても一時的な喜びだけで、また次の目標を立てられ、それに向かって走らされるだけになってしまいます。

目的意識は実はとても大事なことです。
「何のため?」というのを問うてみて、明確に言えないとしたら、まずはそこを探求しないと、達成力が弱まったり、達成しても徒労感だけが残ってしまいます。

目的意識が、常に、あたり前に意識せずともいつも頭にあるという状態こそが、実は達成力や喜びの根源なのです。

そして、いつも行動の前や、やっている行動の目的を意識する。目的に常に意識をむけている「目的志向」が理想です。

目的=パーパスを意識し、常にそれをコアにする。それが「パーパス・コア思考」です。

難しいように思えるかもですが、これは誰でもトレーニングすればできるようになります。

※このコラムは「WoLicasコラム」(一部修正)より転載しています